お金にまつわるお話し
十数年前、私の会社では本店を建て替える際に銀行からそれなりの金額を借り入れしました。借りたお金はもちろん建物の完成とともになくなりましたが、その数年後、今度は倉庫の建て替えが必要となり、再び銀行から借り入れを致しました。
銀行からの借り入れが実行されますと、一時的に大きな金額が会社の口座に振り込まれてきます。それを私は生まれて初めて2回経験し、その時につくづく「怖いな」と思いました。それは自分自身に対する「恐怖心」でした。何が「怖かった」かというと、それが借入金であるにもかかわらず、まるでそのお金が自分のお金であるかのような錯覚に陥ってしまったということです。私の気持ちの中で急に会社がリッチになったような錯覚にほんの一瞬ではありましたが陥ってしまい、そのすぐあとに「どうしてこんな気持ちになってしまったんだろう」と後悔したことを今でも思い出します。
その恐怖を感じて以来、私は「借り入れは一切しない」という方針で会社を運営し、また個人の生活を送っておりますが、ニュースを見聞きしたり、また私の身の回りでも、それが会社であれ個人であれ、あまりに無防備に身の丈以上の借り入れをする人が多すぎるような気がします。確かに、そのおかげで世の中の景気が浮揚し、私自身も結果としてその恩恵を受けているわけですが、過大な借り入れをしている人の結末を見るにつけ、世の中は見た目の豊かさを追い求めることなく、もっと地味で質素であって良いのではないかと思います。
高価な衣服や装飾品、豪華な住まい、贅沢な食事などそれがその人の余裕のあるお金の中で購入される限りには何の問題もないでしょうが、そのようなものを借金してまで、もしくは、手元にお金がないからクレジットカードで購入してまで手に入れる価値が一体どこにあるのか、私には理解できません。
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